サイト売買では売り手がドメインやサイトデータを買い手に譲渡するので、譲渡契約書を結ぶ手続きがあります。
契約書の雛形を入手する方法は3つです。
- 仲介サービスが提供してくれる
- 自分で司法書士に依頼する
- 交渉相手が提示してくれる
仲介サービスが提供する場合は仲介会社が間に入るため、譲渡まで時間がかかる可能性が高いです。
また自分で司法書士に依頼すると、1〜2万円の実費がかかります。
契約書を自分で用意するメリット
- 契約がスムーズになり、売買完了までの時短になる
- 司法書士に支払う費用が省ける
私がサイトを売った時は、買い手がサイト購入の経験が豊富だったので、司法書士に作ってもらった契約書を提示してくれました。
その後サイト売買経験者と情報交換する中で、形式が基本的に同じ契約書を複数みました。
(サイト売買契約は守秘義務があるので、個人情報はみていません)
そしてインターネット上には雛形のテンプレートが無料で公開されているので、雛形自体に著作権はないと判断しました。
(士業の事務所が提供する場合を除く)
ですのでこのページで私が使っている契約書の雛形を無償で提供します。
またお互いの取り決めを交わす特記事項の内容が売買後に大きく影響するので、不利にならないように事前に気をつけるポイントもまとめました。
サイト売買契約書の雛形テンプレートをダウンロード
私が使っている契約書の雛形です。
配布中→契約書の雛形
PCでご覧の方はリンクをクリックするとダウンロードでき、スマートフォンでご覧の方はそのまま閲覧できます。
お使いいただく上でご注意いただきたいことがあります。
注意事項
この雛形を使った契約に関して、一切の保証や責任をこちらでは負いかねるのでご理解よろしくお願いします。
それではここから、特記事項の内容をみていきます。
コンテンツの著作権侵害に対する裁判費用や損害賠償の負担
サイトコンテンツの著作権に関する内容です。
裁判費用や損害賠償の負担は大きなリスクなので、最初から侵害していないので買い手が対応するべきという内容に変更しました。
甲:売り手の私、乙:買い手の相手
(訂正前)
・譲渡日より6ヶ月の間に、本事業、本サイト、及び本システム等に関して第三者より、著作権を含む知的財産権侵害等の訴えが発生した場合、それに付随して発生する裁判等の費用、損害賠償は甲が負担するものとする。
(訂正後)
・対象サイト上のコンテンツ等における第三者の著作権・パブリシティー権について
①甲は、下記1点を理由に、対象サイトでは第三者の著作権やパブリシティー権を侵害していないものと考えている点について乙は予め確認する。
●対象サイトのデザイン、ソースコード、説明文などは、いずれも甲が独自に制作したものか、フリーウェアなどの形で無償公開されているものか、提供サービスで公開されているものを流用したものであること
・乙は対象サイトに掲載されている画像素材は権利者などから削除請求があれば、それに応じるべき性質のものであることを了承する。
サイト譲渡後のサポートと収益の責任は一切負わない
サイトデータとドメインを譲渡して売買が完了した後、一定期間はトラブルや質疑応答のサポートをしてほしいという内容です。
サポートは売買価格に含まれていないので無駄な労力を省くために、期間限定でドメインとサイトデータに限った内容に変えました。
甲:売り手の私、乙:買い手の相手
(訂正前)
・甲は乙に対し譲渡日から起算し90日間はチャット/メール対応サポートを行う。
(訂正後)
・甲は、譲渡後の収益に関して責任は一切負わず、サポートも行わない。
ただし、譲渡日より1ヶ月以内にドメイン移管及び譲渡したデータに何らかの不備や不足が見つかった場合、甲は問題の是正に必要な作業及び対応を可能な範囲で行う。
サイトへの被リンクは期間限定でそのまま残してあげる
今回私が売ったサイトは、ペラサイトで被リンクがついたものでした。
SEOの効果上そのまま残してほしい要望があったので、残す期間の妥協点を探しました。
甲:売り手の私、乙:買い手の相手
(訂正前)
・甲は本サイトに提供されているリンクのうち甲が管理しているリンクについて、譲渡日より起算して2年間は変更しないものとする。
また、リンク先ウェブサイトサービスの停止や閉鎖もしくはリンクの削除等を行う場合、事前に乙に対する連絡を行うものとする。但し甲の想定し得ない原因によりリンクが切れた場合はこの限りではない。
(訂正後)
・甲は本サイトに提供されているリンクのうち甲が管理しているリンクについて、譲渡日より起算して6ヶ月は変更しないものとする。
また、リンク先ウェブサイトサービスの停止や閉鎖もしくはリンクの削除等を行う場合、事前に乙に対する連絡を行うものとする。但し甲の想定し得ない原因によりリンクが切れた場合はこの限りではない。
買い手へサイトの更新やメンテナンスの必要性を提示する
先ほど示した「譲渡後の収益に関して責任は一切負わない」という内容に加えて、「現状のまま収益が維持できる保証なない」と追加することで、買い手へサイト運営の責任感を再確認させる内容を新たに加えました。
甲:売り手の私、乙:買い手の相手
(新たに追加)
・システム動作に関する免責と保証について
乙は対象サイトの運営に供しているシステムがWeb上のシステムであることから、メンテナンスをせずに将来にわたって永続的に使い続けられるわけではないことを了承する。
まとめ
- 自分で契約書を用意すると、時短と費用負担がなくなる
- 著作権侵害の裁判費用や損害賠償には応じない
- 譲渡後のサポートや売上保証はしない
- 被リンクがある場合は、一定期間残してあげる
- 買い手はメンテナンスや更新をするべきと伝える
このように「著作権」「サポート」「免責と保証」を明確にすることで、売り手として売却後のリスクを最小限に抑えられます。
また買い手の方も事前に売り手のニーズを知っておくことで、スムーズでトラブルのないサイト購入ができます。